沖縄タイムス オフィスの窓から(最終話)

20090402office

タイトル:有機農業に県も支援
 3月になり徐々に初夏の兆しが訪れ、県内の畑も冬野菜から夏野菜の苗が頭をそろえ衣替えしている。これから夏に向かい、強い日差しと高温、病害虫対策と過酷な農作業を強いられる季節がやってくる。ましてや有機栽培ともなれば病害虫対策は深刻な問題だ。
 どの生産者も虫対策に頭を抱えており、栽培中はもちろん梱包の際も虫の混入を防ぐのに必死だ。出荷前に殺虫剤を散布し混入を防ぐ方法はあるが、せっかく農薬や化学肥料を使わず栽培したのに「混入を防ぎたいから」と薬剤を散布することもできない。生産者は安全性と品質管理との問題でジレンマを抱えている。
 また、沖縄には、有機栽培のマニュアルが無い。他府県には、さまざまな栽培マニュアルがあるが、まねようとしても土質、気温、気象が異なるため、他府県の栽培をすぐに反映させる事が非常に困難である。
 今日まで県内における有機農業の技術や販売方法は、個々の生産者に委ねられていたため、品質や価格基準でバラつきがあった。ほとんどの生産者が、市場やJAを通さずに出荷するため、出荷先の希望に沿って生産していることが大きな要因であろう。
 そんな中、県は「県有機農業推進計画」を基に5カ年計画で有機農業をサポートしようと「県有機農業推進協議会」を発足させた。私も委員としてこの協議会に携わる事となった。行政が「有機農業推進計画」を打ち出すことで、栽培マニュアルや品質・価格基準の設定ができ、沖縄安全農産物ブランドが誕生するのではないかと期待は高い。
 沖縄の野菜や果物が日本一おいしく安全だと胸を張って言えるようになるために、行政や生産者、流通業者、県民全体で有機農業をサポートする体制づくりが求められている。一人一人が有機農業を意識することで県産農産物が全国一の安全農産物へと大きく変わると信じている。
 これまでの執筆を通して、あらためて沖縄の農業の課題と向き合い、目標を持ってクリアしていきたいと思った。また多くの方々から頂いた温かいお言葉、その声が支えとなって今日の自分に生かされていることに深く感謝したい。